著者は山中信義、日本エマソン株式会社代表取締役社長、2004年出版。
内容はエマソンのような成熟した製造業でも成長できるし高い利益率もあげられる、だから日本企業もエマソンを参考にして復活を、というもの。
日本企業のことは脇においてエマソンのことを見ていく。
エマソンはフォーチュンの米国エレクトロニクス部門でGEに次ぐナンバー2。
60以上のグローバルニッチ市場で絶対的ナンバーワンの地位を構築するビジネスモデル。
(実際のところは1位、2位のようでこのあたりはGEと似ているかも)
経営戦略
1.小さな池の大きな魚
最初に市場をセグメンテーションする。自分が勝てる市場を定義する努力から始まる。
セグメンテーションに失敗すると多額の赤字、事業撤退が待ち受ける。
ここが最重要。どこまでも勝てるセグメントを求める。
2.成熟産業で成長し利益を上げる
事業分野は成熟した産業のインフラ事業にほぼ限っている。
成熟産業は新規参入が日常的に起きない、毎年劇的な技術革新がおこるようなことがない、市場動向の把握がしやすく事業の予見性も高い、などのメリットがある。
3.商品差別化
大型技術革新の継続。他社ではなく自社が技術革新をリードしていく。
新商品の売上寄与率は常時34~36%をキープしている。
コスト構造の変革と付加価値の向上のために多大なリソースを投入し続ける。
4.ベストコスト戦略
販売価格は自社でコントロールできないがコストは自社でコントロールできる。
自社でコントロールできるコストを確実に他社に負けないものにする。
スケールメリット、テクノロジーメリット、グローバルメリットで絶対的なコスト優位を追求する。
5.事業部の完全独立性
60以上の事業部に大幅な権限委譲。
6.数によるリスク分散
エマソンは全体としては設備投資にあわせて成長する。
ただし設備投資に相関して成長する事業部、設備投資に先行して成長する事業部、設備投資に遅行して成長する事業部にバランスよく配分。
事業サイクルも分散し景気後退期でも影響を緩和する。
7.コアコンピタンスへの集中
ある事業分野で強固な地位を構築できたらその強みが利用できる周辺事業へさらに事業領域を拡大する。
8.プランニングプロセス
トップダウンのプランニング。CEOが最初から直接関与。CEOは仕事の6割をプランニングに振り向け続ける。
10年前に出版された内容だが経営戦略は現在でもそれほど変わっていないと思われる。
というか何十年も変わっていないのかもしれない。
半世紀以上の連続増配は伊達じゃないだろう。
今後もトップダウンで戦う前から勝つ戦いを指向し続けてほしい。
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